今月のこだわり酒

2019/10/25




秋の味覚を引き立てる、ひと夏越えた熟成の旨さ


「ひやおろし」とは、冬にしぼった新酒の劣化を避けるために、春先に加熱殺菌をした上で大桶に貯蔵し、ひと夏を越えた季節に、2度目の加熱殺菌は行わずに「冷や(常温)」のまま大桶から樽に「卸し」て出荷したことから、このように名づけられた秋のお酒です。

通常の日本酒は、貯蔵前に1度、出荷直前に1度と、出荷までに合計2度、「火入れ」と呼ばれる加熱殺菌を行います。これは、風味を損なう微生物を殺菌し、お酒の劣化を防ぐため。一方で、火入れを全く行わずに新酒のまま出荷するのが「生酒」、そして、1度だけ火入れを行い、夏を越すまでじっくり熟成させて「冷や」のまま出荷するのが「ひやおろし」ということです。









深いコクと新鮮な味わい、日本酒の”良いとこ取り”


八鹿酒造の「秋の純米 ひやおろし」は、蔵元のある九重町で契約栽培した酒造好適米「五百万石」を100%使用し、九重連山の伏流水が流れ込む玖珠盆地の地下水を仕込水に、本格的な手造りで仕込みました。手間ひまかけて丁寧に醸した、やわらかな口あたりが特徴の純米酒です。






味わいやコクに深みがある通常の日本酒と、フレッシュな味わいが特徴の生酒。「ひやおろし」は、深いコクとフレッシュな味わいを同時に堪能できる“日本酒の良いとこ取り”を実現したお酒なのです。程よく熟成されているため、絞りたての粗さが取れ、味わいにやわらかさが出て、味わい深さを楽しめます。












スッキリ飲むなら「冷酒」、コクを楽しむなら「熱燗」で


秋は、サンマや鮭などの魚介類、サツマイモ・ジャガイモなどの根菜、松茸やしいたけなどのきのこ類が美味しい季節。「ひやおろし」は、冷やして飲むとスッキリとした口あたりと繊細な味わい、熱燗にすると熟成された深いコクが堪能できるので、まだまだ気温差が大きい秋だからこそ、その日の食材や気温に合わせて「冷や」にするか、「熱燗」にするかを選ぶのも一つの楽しみです。





「ひやおろし」のもう一つの楽しみ方が、秋から冬へ季節が移っていくと同時に、瓶のなかでゆっくりと熟成がすすみ、よりまろやかな味わいへと変化すること。秋の味覚も、季節の深まりに合わせて味わいが変化します。サンマや牡蠣は脂がのり、野菜は旨味を増します。旬の食材とともにお酒の味わいの変化を一緒に楽しめるのも、「ひやおろし」の醍醐味です。

季節限定の「ひやおろし」で、旬の食材とともに、ぜひ秋を満喫してください。